研究
2025年3月17日
OBF13がIZUMO1とJUNOの相互作用を阻害する分子的メカニズムを解明~免疫力不全による不妊症への治療法や診断に光~
IZUMO1は雄マウスの受精能力に必要とされるタンパク質で、精子の細胞表層に存在します。これがパートナーとなる卵子のJUNOと呼ばれるタンパク質に結合することが哺乳類の受精に必須であることが知られています。精子のIZUMO1を標的とする抗精子抗体OBF13(Okabe, Butsu-Metsu, Friday the 13th)はIZUMO1とJUNOの結合を阻害することがこれまでの研究で分かっていましたが、具体的な阻害のメカニズムについては40年にわたって解明されていませんでした。
この度、本拠点のLu Lu Yonggang特任准教授(常勤)らの研究グループはX線結晶構造解析により、OBF13がIZUMO1とJUNOの相互作用を阻害する分子的メカニズムを明らかにしました。 具体的にはOBF13がJUNO結合領域から離れたIZUMO1の4ヘリックスバンドル部位に結合することがわかりました。この阻害はアロステリック(遠隔的)な調節によるもので、OBF13はIZUMO1とJUNOの直接的な接触を妨げずにIZUMO1が受精に必要な構造変化を引き起こすのを阻害することが示唆されました。その結果、OBF13にさらされている精子は卵の細胞膜に接することができなくなり、受精できなくなります。
この研究結果は、免疫力不全による不妊症への治療法や診断などに役立つことが期待されます。
タイトル | Allosteric inhibition of the IZUMO1–JUNO fertilization complex by the naturally occurring antisperm antibody OBF13 |
著者 | Yonggang Lu#, Masahito Ikawa, Shaogeng Tang* # First author; * Corresponding author |
DOI | https://doi.org/10.1073/pnas.2425952122 |
掲載誌 | Proceedings of the National Academy of Sciences |
公開日 | 2025年3月5日 |