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メンバー

PRIMeの研究者

PRIMeでは、多様な分野、国籍、背景を持つ研究者がアンダーワンルーフで混ざり合い、学際的・統合的な研究ができる研究環境を醸成していきます。

吉野 剛史

特任准教授(常勤)

大阪大学ヒューマン・メタバース疾患研究拠点

関連ウェブサイト:
Orcid Researchmap

研究概要

図1. 生殖巣オルガノイドの構築

生殖巣(卵巣と精巣)は卵子や精子を産生するのに加え、性ホルモンを分泌して、性特異的な体づくりを主導する器官です。生殖巣に異常が生じると不妊や性分化疾患などの疾病が引き起こされてしまいます。これらの疾病は少子化の原因の一つにもなっており、社会的にも重要な問題となっています。私たちはヒト生殖巣のオルガノイドを構築してこれらの疾病の新たな治療法の確立に貢献したいと考えています。
生殖巣は胎生期の未分化生殖巣と呼ばれる雌雄同体の原基が性染色体に依存して性分化を起こして作られます。未分化生殖巣を構成する細胞のうち、卵子や精子の元となる始原生殖細胞様の細胞 (PGCLCs) はすでにマウスやヒトの多能性幹細胞から誘導されてきました。しかし、この発生を支える体細胞は、出現過程の理解の遅れのため誘導できていませんでした (図1)。

私達は体細胞が出現する体腔上皮やその前駆組織である側板中胚葉の研究を長年行い、雌  (XX型)のES細胞から体細胞を誘導しました。
この誘導細胞をマウスPGCLCsと凝集させ未分化生殖巣を構築すると体外で雌性化を再現して、卵巣オルガノイドへと発生しました。
ここでは、卵母細胞をその支持細胞や雌性ホルモンを主導する細胞が幾重にも覆う生体の卵胞と同等の構造が形成されます (図2)。
さらに、この卵母細胞に由来する卵子を授精させると産仔も得られました。

現在は、この方法を発展させ、雄 (XY型) のマウスES細胞から精巣オルガノイドを構築する研究やヒトの生殖巣オルガノイドを構築する研究を進めています。

図2. 卵巣オルガノイドの拡大写真マウスES細胞に由来する卵母細胞 (緑、青) が顆粒膜細胞 (赤) と莢膜細胞 (白) に覆われる卵胞が多数形成されている。
オルガノイド生命医科学/生殖システム
教授
准教授