吉原 正仁
特任教授
大阪大学ヒューマン・メタバース疾患研究拠点
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PRIMeの研究者
PRIMeでは、多様な分野、国籍、背景を持つ研究者がアンダーワンルーフで混ざり合い、学際的・統合的な研究ができる研究環境を醸成していきます。
“ヒト眼オルガノイドのオミックス解析による発生・分化機構の解明とその破綻による疾患発症機序の解明”
我々のグループが開発したヒト眼オルガノイドを用いて、正常および疾患眼の発生過程を再現し、シングルセルトランスクリプトームなどのオミックス解析によって、分化制御機構や疾患発症機序の解明を目指します。
研究概要
私は大阪大学医学部卒業後、大阪大学眼科学教室にて様々な眼疾患の診断と治療を行ってきました。大学院ではオミックス解析を用いて、iPS細胞を用いた角膜再生医療の実現に向けた研究に取り組みました 1-4。留学先では、ヒト初期発生段階のシングルセルトランスクリプトームデータを活用することで、ES・iPS細胞よりもさらに受精卵に近い段階のヒト初期胚様細胞の作製に成功しました 5,6。
ヒトの眼は様々な組織から構成される非常に複雑な臓器であり、その詳細な発生機構は未だ明らかになっていません。特に、視力に重要な「黄斑」と呼ばれる部位はマウスには存在しないため、マウスはヒト黄斑発生の研究モデルとして適していません。また、眼の組織の多くは再生しないため、患者から検体を採取することは難しく、疾患に関する研究も充分に進んでいません。今もなお、網膜色素変性症などの難治性疾患に対する治療法の開発が望まれています。
そこで我々は、iPS細胞由来のヒト眼オルガノイド (SEAM)を用いてヒトの眼の発生段階を再現し、このモデルに対してシングルセルトランスクリプトームなどのオミックス解析を行うことで、分化過程における遺伝子発現制御機構の解明を目指します。さらに、患者由来のiPS細胞や、疾患モデルiPS細胞から眼オルガノイドを誘導し、これらに対して同様の解析を行い、正常モデルとの比較によって疾患の発症過程や病態を明らかにし、新たな治療法の開発も目指します。
参考文献