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メンバー

PRIMeの研究者

PRIMeでは、多様な分野、国籍、背景を持つ研究者がアンダーワンルーフで混ざり合い、学際的・統合的な研究ができる研究環境を醸成していきます。

桜田 一洋

特任教授

関連ウェブサイト:
研究室ウェブサイト RIKEN ウェブサイト ORCID

研究概要

病気の発症を個別に予測し、発症を防ぐ技術の開発は持続可能な医療を実現するための喫緊の課題である。

医学では、因果メカニズムによって疾患の症状を説明し、制御してきた。しかし、健康から病気の発症までの複雑な過程は、この方法では説明することも予測することもできない。AI技術の進展に伴い、医学領域でも大量の実世界のデータから高精度の予測が可能なサロゲートモデルが開発されるようになってきた。サロゲートモデルは動作原理を知ることができない「ブラックボックス」構造のため、モデルの構築に用いるデータのバイアスによって予測の再現性や信頼性に影響がでるという問題がある。リスクが許されない医療の現場では、まだサロゲートモデルは十分に受け入れられていない。

私は、個別化された予測に基づく医療を実現するために、新たな生命科学の基盤となる理論の開発を行ってきた。この理論は、ニュートン力学、電磁気学、相対性理論、量子力学、熱力学で用いられてきた力場の考え方を、生命現象に導入するものである。物理現象は平衡に近い非平衡状態で生じるのに対して、生命現象は平衡から遠く離れた非平衡状態で生じる。私の開発した理論によって、生命特有の変分原理や支配方程式を開発することが可能となった。また、因果モデル、サロゲートモデル、力場モデルという異なる経時変化の推論を圏論によって統合する理論を開発した。この二つの理論は、Patient Digital Twinの基盤技術となる。

参考文献

Sakurada K, Ishikawa T. Synthesis of causal and surrogate models by non-equilibrium thermodynamics in biological systems. Sci Rep. 10;14(1):1001 (2024)