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メンバー

PRIMeの研究者

PRIMeでは、多様な分野、国籍、背景を持つ研究者がアンダーワンルーフで混ざり合い、学際的・統合的な研究ができる研究環境を醸成していきます。

森田 斉弘

特任教授

大阪大学ヒューマン・メタバース疾患研究拠点 /Associate Professor with Tenure (PI), University of Texas

疾患特異的オルガネラの動態・構造変化の解明—オルガネラ診断を基盤とした疾患予測・早期発見および個別化医療の革新にむけて

オルガネラは細胞内でそれぞれ独立して機能していますが、ミトコンドリアと小胞体(ER)などのオルガネラ間の物理的な接触は、細胞の恒常性維持において不可欠です。がんや代謝疾患などの加齢関連疾患の発症・進行に伴い、オルガネラの構造や接触様式に変化が生じることが広く報告されています。しかし、これらの動態的変化の分子機構や生理的意義については、いまだ不明な点が多く残されています。

私たちの研究グループでは、オルガネラの構造および接触の変化を制御する分子メカニズムを解明し、それらがエネルギー代謝やタンパク質恒常性にどのように関与するかを明らかにすることを目的としています。特に、ミトコンドリアとERの動態の変化が、がんや代謝症候群などの疾患の進展や薬剤応答性にどう関与するかを明確にすることで、オルガネラ構造や接触が新たな診断・予測指標となる可能性を提示します。

私たちはWPI-PRIMeプログラムのもと、臨床研究、オルガノイドモデル、数理モデリングの専門チームと連携し、これらの知見をヒト疾患の理解と応用へと展開しています。Aim 1では、最先端の電子顕微鏡技術を用いて、ヒト組織、マウスモデル、オルガノイドにおける疾患特異的なオルガネラ構造および接触の変化を同定します。Aim 2では、高度な画像解析技術とディープラーニングアルゴリズムを用いて、オルガネラの構造や接触部位を定量化し、疾患特有のオルガネラ特徴を抽出します。Aim 3では、これらのデータをマルチオミクス情報と統合し、「オルガネラ特化型ヒューマン・デジタルツイン(Organelle-Focused Human Digital Twins)」を構築することで、疾患の進行や薬剤応答を個別に予測できる新たな精密医療モデルの確立を目指します。

このように、我々のグループの研究はオルガネラの構造と動態に着目することで、疾患のメカニズム解明だけでなく、次世代の診断・治療戦略の開発にもつながることが期待されます。

研究概要


参考文献

  1. Morita et al., Cell Metab, 2013
  2. Morita et al., Mol Cell, 2017
  3. Araki et al., Nat Immunol, 2017
  4. Hulea et al., Cell Metab, 2018
  5. Morita et al., PNAS, 2019
  6. Katsumura et al., Cell Metab, 2022

情報・数理科学/数理モデリング
教授
准教授